危険な夜道

とある夜道。

前から自転車に乗った男がこちら側へと向かってくる。
気付くと男は左手を後ろに回している。

もしかすると刃物なんかを持っているやもしれぬ。

私はできるだけ道の端っこを歩いて男から遠ざかる。

男が徐々に近づいてくる。涼しい夜のはずが、少し汗ばんできた。
そっと横目で男の動向をうかがう。決して直視はしない。

そしてまさに男と通りすがる瞬間、緊張は頂点に達する。
ごくり、と息をのむ。

しゃーっと、男は私から遠ざかって行く。

私は振り返り、男の姿を確認する。

後ろに回した手の、その先にあったもの。

男はただケツを掻いているだけだった。

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