アイドルになれないなら死にたい

化粧をしよう②

店舗側面のまばゆい光を放つ、名前もどこに使うかもよくはわからない化粧品たちへと、恐る恐る手を伸ばす。

だけどどの店員さんも私に声をかけてくれない。
今日は全身UNIQLOじゃないけど、まあパンツはUNIQLOだけども。

手を触れたらお声かけするのが販売員の基本だと思っていたのだが、それでもお声掛けしてくれない店舗もあるわけだ。
まあターゲットが異なるのだろう。そこはよしとしよう。

そうして私はとりあえず有名どころSHU UEMURAへ突入し、ずっと佇んでいた。
そこに一体化してしまうくらい、歩んできた人が化粧売り場の一部と見紛うくらいの勢いで佇んでいた。
私はまるでそこから一歩も動けないかのような勢いで、何かを熱心に探しているふりをして虚空を見つめていた。

私より若いぱっちり二重の赤いアイシャドーのかわいい女の子がやっと声をかけてくれた。
「何かお探しですか?」

その言葉に戸惑う私。
とにかく私は誰かに化粧を施されたいの一心でここまできたのだが、果たして私は何を探しているのだろう?
別に何かを探していたわけではない。ただ前述の思い一心があるのみだった。
「あっアイシャドーをば、、、いつもブラウン系だからもうちょっと他の色を試してみたくて、、、」

目標が曖昧なまま突っ走れるのは大学生までだ。私はもう社会人。そしていい大人。そしてくそアラサー。
そう、私は変わりたいのだ。変わりたいからここへ来たのだ。
ベースメークを変えたって気づいてくれるのは、ブラジャーを新しいものに変えたらすぐに気づいてくれた姉くらいだろう。

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